ある夜の出来事。
毎晩 毎晩 夜中になると
ふすまの向こう側から声がする
「お前の育て方が悪いんだ」
「お前のせいで子供が駄目なんだ」
降りしきる雨の中
聞こえてくるのは
か細い声と 怒鳴り声
お父さん もうやめて
悪いのは 全部わたしだから
お母さん ごめんなさい
わたしが駄目な子だから
耳をふさいでも ふさいでも
聞こえてくるのは 怒鳴り声
このまま もっと
耳がつぶれるくらい 雨が降って
もう 何もかも
聞こえなくなってしまえばいいのに